Saturday, 16 April 2011

ジェイク - Mr.Jake

ミスタージェイクは、クリスの家で飼われているシェパードで、齢は5歳。
趣味は、フットボール。一日中、ボールを蹴って喜んでいる。

クリスが昔、直径10cmほどの硬いピンクのボールを彼にプレゼントした。
今では色あせて、白だかピンクだかわからなくなっている。
おまけに、ジェイクが噛みすぎてボコボコになっている。

それでもジェイクは、そのボールが大好きだ。

・・・・・

ミスタージェイクには、どうしても受け入れられないものが2つある。

1つ目は、彼の家(庭)にお構いなしに上がりこんでくる、猫だ。

侵入者を発見すると、おなかの底から出て行けと叫ぶ。
昼だろうが、夜だろうが、かまわず叫ぶ。

残念ながら、猫は図太い。
何度吠えられようと、何も聞こえていないかのようにその場に居座る。
そして、十分にリラックスして毛づくろいを始める。

どんなに敵を威嚇しても無駄だと気付いたジェイクは、
何も見なかったことにしてベットに戻り、
侵入者と同じように、自分も毛づくろいを始める。
そしていつの間にか、猫はいなくなっている。

・・・・・

ミスタージェイクが長年受け入れられないものは、もう1つある。
ミスターサンディ 。5歳のチワワ。
毛が全身砂(サンド)のようなのでサンディと呼ばれている。

サンディは昼間はガレージにいて、
夜ベットにいく前の2時間ほど、ご主人の家にあがってくる。

庭の主ミスタージェイクは、彼が好きではない。
理由は簡単だ。

自分が普段入れない飼い主の家に、サンディが上がれること。
また夜の間、彼が飼い主の愛情を全て奪ってしまうからである。

夜、サンディが家にあがってくるのがわかると、
ジェイクは狂ったように吠える。

ジェイクはここにいるよ!
僕を忘れないで!

という悲痛な叫びと、

僕だけの大切なご主人だ!
今すぐ出て行け!

というサンディへの警告および嫉妬が、
”ヴァウヴァウ” という尋常ではない一吠に込められている。

当のサンディは、何も聞こえていないふりをして優越感を味わい、
飼い主の愛情を一身に受け、家中をハイスピードで駆け回る。

ジェイクも頭がいいので、どんなに窓の外から吠えても無駄だと知る。
そして、その切ない気持ちのやりどころなく、夜の闇の中で大好きなボールを蹴り続ける。

・・・・・

ジェイクは今窓の外で、夕方の穏やかなひと時を、1人静かに感じている。

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